ナチュラルホルモン補充療法
DHEA
DHEAは男性ホルモンと女性ホルモンの原料になる(代謝経路の上流に位置する)ホルモンで、副腎で産生されます。DHEAには、①糖尿病やメタボを防ぎ、②動脈硬化を防ぎ、③骨や筋肉を強くしてフレイルを防ぎ、④免疫を高める働きがあることが、これまでの研究により明らかにされています。DHEAは加齢とともに低下していきますが、DHEA-Sが高い人は長生きであることが明らかになり、DHEAは若返りホルモンとも言われています。
それまでに発表されたすべての論文のなかで、一定の条件を満たす論文を集めて解析を行ったメタアナリシスによると、65歳以上の一般住民6,744名を3.8~8年間観察したところ、DHEA-Sが低い人の死亡リスクは、DHEA-Sが高いに比べて、男性で1.41倍、女性で1.72倍に上昇していました(Li R, et al. Ann Palliat Med 2020)。
DHEA錠はナチュラルホルモンですが、過剰に摂取すると、男性ホルモンおよび女性ホルモンの作用が過剰に現われ、ニキビ、乳房痛、月経不順が出現することがあります。肝障害にも気をつける必要があります。乳がんや卵巣がんや前立腺がんの(可能性がある)人には投与できません。妊娠中や授乳中の摂取の安全性は確立されていません。
オンライン診療にあたっては、一般的な血液検査、DHEA-S値、乳がん・卵巣がん・前立腺がんの有無などの情報が必要になります。
メラトニン
メラトニンは、夜に松果体から分泌されて睡眠を促すホルモンです。メラトニンは、睡眠作用だけでなく、抗酸化作用、骨強度を高める作用、発がん抑制作用、認知機能改善作用などのアンチエイジング作用があることが明らかになり、注目されています。
メラトニンは、もともとからだに存在している物質ですので、薬に比べると安全性は高いと考えられますが、過剰に摂取したり、他の安定剤や眠剤と併用したりすると、効きすぎて眠気、頭痛、吐気などが生じることがありますので注意が必要です。メラトニンは免疫に影響を与えますので、自己免疫疾患を悪化させる可能性があります。小児、妊娠中、授乳中は禁忌です。
オンライン診療において特に検査は必要ありません。
女性更年期障害
女性ホルモン補充療法の主体はエストロゲンの補充ですが、エストロゲンを単独で補充すると子宮内膜癌のリスクが増えるため、プロゲステロンを併用する必要があります。
2008年に発表されたフランスでの閉経女性を対象とした大規模試験によると、ホルモン補充療法を行わなかった人の乳がん発生率を1とすると、平均8.1年の観察期間で、エストロゲン単独投与では1.29倍、エストロゲンと合成ジドロゲステロンの併用では1.16倍、エストロゲンとそれ以外の合成プロゲステロンの併用では1.69倍に、乳がん発生率が上昇していました。これに対し、エストロゲンと天然型プロゲステロンの併用では1.00倍で、ホルモン補充療法を行わなかった人と乳がんの発生率は変わりませんでした。
したがって、ホルモン補充療法を行う際は、天然型のプロゲステロンを用いることが推奨されますが、国内に保険診療で使用できる天然型プロゲステロンは存在しません。
エストロゲンは、体内では、エストロン(E1)、エストラジオ―ル(E2)、エストリオール(E3)として存在しています。近年、貼付薬またはゲル製剤の天然型エストラジオールが保険適応になっていますが、バイエストロゲン(E2+E3)として用いた方がより生理的です。また、保険で天然型エストラジオールを処方し、自由診療で天然型プロゲステロンを処方することは、混合診療になるため、認められていません。
当院では、天然型バイエストロゲンと天然型プロゲステロンの併用によるナチュラルホルモン補充療法をお勧めしています。錠剤またはクリームのどちらを選ぶこともできます。
オンライン診療では、治療前に、一般的な血液検査結果、エストラジオール・プロゲステロン・LH・FSHの検査結果、乳がん・子宮がん検診が必要になります。
男性更年期障害
男性ホルモン(テストステロン)は、男性らしい身体や内面を作り、性機能を高めるホルモンです。テストステロンは加齢とともに低下していき、テストステロンの低下によって引き起こされる中高年のさまざまな症状(男性更年期症状)を、LOH症候群と呼びます。
テストステロンには、①筋肉や骨を強くし、②メタボや動脈硬化を防ぎ、③やる気や認知機能を高める働きがあり、テストステロンが高い男性は長生きであることが報告されています。
2007年に発表されたイギリスでの前向き試験によると、2,314名の男性を平均7年間観察し、さまざまな因子で補正した結果、テストステロン値が高いほど死亡率が低く、テストステロン値が最も高い群の死亡率は、最も低い群の59%に低下していました。
テストステロン補充療法は、男性更年期症状の改善や、フレイル、メタボ、動脈硬化、認知症などの予防目的で行われています。
保険診療で一般に用いられているテストステロン補充療法は筋肉注射ですが、2~4週間毎に通院しなければならないこと、注射直後は過剰に血中濃度が上昇すること、注射の痛みが欠点です。それに対し、塗布薬(軟膏・クリーム)は、通院が少なくて済み、テストステロン濃度を生理的範囲に保つことができるという長所がありますが、十分な効果が期待できる濃度のテストステロンクリームは国内では承認されていません。
テストステロン補充療法は、前立腺がん、乳がん、睡眠時無呼吸症候群、多血症の患者さんには禁忌です。また、副作用として、多血症、体液貯留、精巣機能抑制、脱毛に注意する必要があります。
オンライン診療を行うにあたっては、一般的な血液検査、フリーテストステロン・LH・FSHの値、PSA値の情報が必要になります。
Anti-Aging 治療
- 再生医療
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診療内容
項目 説明 保険診療 内科、胃腸科、循環器科
呼吸器科、禁煙外来
男性更年期外来、女性更年期外来自由診療 サプリメント栄養療法
ナチュラルホルモン補充療法
キレーション療法
高濃度ビタミンC点滴療法健診、ドック 健康診断、人間ドック
アンチエイジングドック -
診療時間
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13:00まで○ ○ ○
13:00まで14:00~18:00 ○ ○ ○ ○ ※受付時間は診療時間の20分前までとなります。
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